【その犬凶暴につき】~ワニワニパニックの同志が犠牲に~
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ワニワニパニックで思い出したのでもう一節書くことをご容赦願いたい。
当時仲の良かった野村のとこの犬が凶暴で有名だったのですが、これはその犬にまつわる小6のときに起きた事件の話です。
ある日の夕方、野村が犬の散歩中に犬をつないでいるロープを放してしまい、堀野の家から出て歩いている我々4人(拙者、仲道、宇野、タツオ)に向かってワンワン言いながら突進してきたことがありました。
「わー!!」
逃げようにもそこは曲がり角すらない直線道。タツオが「逃げろ!」と叫びます。
一斉に逃げる4人。犬との距離50メートルちょっと。ヤバイ。
4人のうち誰かが犠牲になる…。あっという間に近づく犬と必死に逃げる4人。
4人が徐々に縦になり始めます。足の速さがバラバラだからです。1番後方を走る仲道とブッチギリでおいていく、いつもリレーのアンカーを務めていた足の速いタツオ。その後に拙者、宇野が続きます。犬のワンワンが聞こえなくなった瞬間、ナカミチの悲鳴・絶叫が路地に響きます。
“イタ!あああああ!!”一斉に振り返る3人。仲道が野村の犬に噛まれてます。
しかもケツから足をガッツリいかれています。あーあ。俺ら3人は口をポカーンとあけたままマサミチが犬に噛まれている画を見守ります。助けようがありません。犬の凶暴ぶりに圧倒されて動けません。近づけば今度は自分がその犬の餌食になりかねません。
まぁしかし安心しろナカミチ、その犬は狂犬病の注射は打ってあると野村は言っていた。
大体仲道は逃げるのには無理があります。小6で70キロはイタイです。
それにさっき堀野ん家で出されたポテチほとんどお前一人で食ってたじゃん。
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ほどなく追いついた野村が犬のロープを持って仲道から引きはがします。
犬はなおもズボンを咥えたままなので、ズボンが破れて仲道の汚いケツがこんにちはしています。
何とか引きはがすが仲道はワーワー泣いています。“大丈夫か”と近寄ります。
ケツから出血していて血がにじんでしまっています。そこから1番近い堀野の家に再び戻り、堀野のカーチャンに事情を説明し、とりあえず消毒だ、となりました。
仲道が再び汚いケツをペロンと出し四つんばいになります。
仲道はまだ泣いています。その画がおかしくてケタケタ笑う俺ら4人。必死に我慢です。
野村、お前は笑っちゃダメだよ。
しかし、堀野のオカーサンも半笑いです。その汚いケツにはきれいな歯型があると思いきや、そうとう育ちの悪い犬らしく、噛み散らかしています。
野村によると「なんでも食う悪食犬」とのこと。
その傷が面白く、また噴き出してしまい、笑ってしまいました。
堀野のカーチャンも笑いをこらえるのに必死です。というか顔は笑ってます。
ほどなく、マキロン(消毒液)がなくなってしまい、しょうがないので、バンドエイドを貼りまくって野村の家に移動します。堀野ん家から200mくらいです。
まず野村を先に出して、あの凶暴な犬とともに帰らせてから俺らが続きます。
なぜかさっき別れた堀野もついてきています。
野村の家に行く途中、仲道に
「ナカミチ、これは記念で、記念。めったにおらんで」とか「野村がまず悪いよ」などなど散々弁明しましたが、仲道は目を押さえて涙をぬぐうばかりで聞いてません。野村の家着。
野村のカーチャンは保健の養護教諭なので頼りになると思いきや留守。野村が薬箱を探しています。あの犬の声が聞こえます。
結局薬箱が見つからず、泣きやんだ仲道が「もう大丈夫。帰るけぇ電話貸して。」と野村の家から電話をして母親に迎えに来てもらいました。
助手席に乗るのかと思いきや、やはりケツは痛いのか、後ろの席にうつぶせに乗ると“ドア閉めて”なんて言っています。
「おう、じゃあね。」と見送った直後、皆一斉にキャッキャッと笑い出します。
笑いすぎてヒーヒー言うばかりで声が出ません。
「チャーシューだと思ったんだろ!」「犬もたまには豚肉食いたいかー」「いや、ナカミチは美味くないよ!」等々ボロクソ言ってます。
宇野は当時学級日誌にまで書いてました。
拙者もそこから1週間思い出し笑いが止まりません。
授業中にもあの現場を知る連中と目が合うだけで笑い出す始末。
ナカミチと聞くだけでもう笑ってました。
仲道、元気かなー?
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